F1アメリカGPで1億2000万円のリシャール・ミルスーパーコピーが強奪、被害者が主催者に損害賠償請求訴訟
テキサス州で開催されたF1アメリカグランプリ(GP)の会場で、実業家のディーン・ウィットロック(Dean Whitlock)氏が所有していた高級時計「リシャール・ミル」が強奪される事件が発生しました。時計の価値は約75万ドル(日本円で約1億2000万円)に上るとされ、ウィットロック氏はイベントの主催者であるリバティメディア(Liberty Media)とサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)に対し、警備体制の不備を理由に訴訟を起こしました。
強奪されたのは「RM 65-01 “レブロン・ジェームズ”」
盗難の被害に遭ったのは、リシャール・ミルの「RM 65-01 オートマティック スプリットセコンド クロノグラフ “レブロン・ジェームズ”」です。バスケットボール界のスーパースター、レブロン・ジェームズ氏とのコラボレーションモデルであり、定価は約44万ドル(日本円で約7000万円)ですが、二次流通市場では約75万ドル(日本円で約1億2000万円)の価値があるとされています。
ウィットロック氏は、リシャール・ミルの招待客としてVIPエリアであるパドッククラブで観戦していましたが、2025年10月19日午後、会場を後にしようとした際に事件に遭遇しました。
組織的な手口で狙われた被害者
訴状によると、犯行は極めて組織的かつ巧妙な手口で行われました。
混乱の創出:ウィットロック氏が群衆に紛れていると、突然、目の前で一人の女性が倒れました。
動きの封鎖:ウィットロック氏が女性を助け起こそうとしたその瞬間、彼女がウィットロック氏の腕をつかんで動きを封じました。
強奪:その隙に、別の集団のメンバーがウィットロック氏の手首から時計を強奪し、そのまま群衆の中に姿を消しました。
ウィットロック氏は打撲や擦り傷を負ったものの、幸いにも大きな怪我には至りませんでした。
主催者は前日の犯行を把握していた?
この訴訟の重要なポイントは、主催者が犯行の可能性を予見できたかどうかです。ウィットロック氏の弁護士であるニコラス・サーディ(Nicholas Saady)氏によると、犯行の前日(10月18日)にも、全く同じ手口で別の観客からリシャール・ミルが盗まれる事件が発生していたといいます。
この前日の事件について、被害者はCOTAの警備担当者に報告し、警察にも被害届を提出していました。訴状では、F1とCOTAは「高級時計を狙う犯罪組織が会場に潜入している」という事実を明確に把握していたにもかかわらず、来場者に対して何の警告も発さず、警備を強化しなかったと主張しています。
さらに、犯行現場に警備員が到着するまでに30分を要したことも、警備体制の不備として訴えられています。
犯行グループの特徴と目撃情報
訴状およびウィットロック氏の証言によると、犯行グループは以下のような特徴を持っていたとされています。
服装:レッドブル・レーシングのTシャツとフェラーリの帽子を着用。
人数:複数人による集団犯行。
手口:「倒れたふりをする女性」と「時計を奪う実行犯」による分業。
驚くべきことに、犯行直後に別の男性がウィットロック氏に近づき、「叫んでいたのは自分だ」と名乗り出ました。彼は前日に時計を盗まれた被害者であり、犯行グループの姿を見て「また犯行に及ぼうとしている」と警告しようと叫んでいたことが判明しています。
訴訟の現状と時計業界への影響
現在、犯行グループの女性の一人は暴行と窃盗の罪で起訴されていますが、盗まれた時計は依然として見つかっていません。ウィットロック氏は保険への請求も行っていますが、時計の全額を補償するものではないとのことです。
被告であるリバティメディアとCOTAは、現時点でこの訴訟に対するコメントを控えています。
近年、F1の人気高騰とともに、会場における高級時計の盗難事件が後を絶ちません。今回の訴訟は、大規模な公共イベントにおける主催者の警備責任や、来場者の安全確保のあり方に一石を投じるものとして、時計業界だけでなく、スポーツ界全体からも注目されています。
項目 内容
盗難品 リシャール・ミル RM 65-01 “レブロン・ジェームズ”
被害額 約75万ドル(約1億2000万円)
発生場所 サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)
発生日時 2025年10月19日
訴訟相手 リバティメディア、COTA
請求額 20万ドル~100万ドル(約3200万~1億6000万円)
今後、被告側がどのように反論するか、そして裁判がどのような結末を迎えるのか、続報が待たれます。